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平成26年度二級建築士学科試験の総評
26年度学科試験の内容は、総じて従来の傾向を踏襲するもので、問題の難易度も施工にやや難度の高いものが多く含まれている以外は、概ね例年並みか、やや難度の下がったものとなりました。但し、24年の試験内容の見直しにより、単に過去問による準備だけでは解けない新しい傾向の問題も各科目で一部、出題されているのが注目されます。
また、例年公表されている合格のための各科目の基準点(各13点)、総合点(60点)はあくまでも目安であるため、本年の試験結果によっては、やや高めに調整される可能性もあります。以上のように試験の評価は、相対評価であることから、単に出題の難度が下がったから試験が易しくなるとか、出題の難度が上がったから試験が難しくなるとか、単純に言えないことにも注意しておく必要があります。
学科 I (計画)
建築史、計画原論、計画各論、建築設備の各分野の出題の割合は例年と変わりなく、問題の内容も比較的素直な傾向のものが多かったと言えます。但し、計画原論と建築設備にやや新規な問題が出題されているのが注目されます。特に計画原論の分野では、本年の内部結露の問題のように、単に表面的な記憶によるだけでは解くことができず、理論に対する深い理解を要するものが出題される傾向もあるため留意する必要があります。また、計画各論では近年、高齢化社会を反映したバリアフリーに関する問題が出題されていますが、本年も、本年の設計製図課題「介護が必要な親(車椅子使用者)と同居する専用住宅」にも関連する車椅子使用者に係わる問題が出題されていたのは注目されます。
学科 II (法規)
建築基準法、関連法規の各々の分野の出題数は例年通りでしたが、関連法規では近年、特に建築士法の出題が注目されます。本年も建築士法からは2題出題されていましたが、建築士法は近く改正される予定もあり、その建築士試験における重要性からも今後も注意しておく必要があります。
建築基準法の問題では、単体規定、集団規定ともに、概ね近年の出題範囲からのものでしたが、各法令の条文については、政令まで詳細に吟味しないと正解に至らないものも多く見られ、その意味では、やや深い内容のものが多くなったと言えます。
以上から法規については、理論、理屈の理解ということよりも、いかに系統的に整理して憶えるか、理解するか、ということが重要で、日頃から、しっかり練習問題を通じて法令集に慣れておくことが大切です。
学科 III (構造)
構造力学、各種構造、材料の各分野の出題数は例年通りで、問題の傾向も基本的な基礎力、応用力が身についていれば、解ける内容のものが多く見られました。特に力学では、確実な基礎力があれば解ける内容のものが大半を占めていましたが、他方、木構造、鉄筋コンクリート構造に関する問題や構造計画に関する問題で、従来よりもやや広範な知識を要する問題が出題されているのも注目されます。
前記のように、試験は相対評価であるため、問題の内容が比較的平易であれば、それだけ正解を取りこぼすことは致命的ともなり、また、特に構造は記憶によるよりも、理論に対する着実な理解が欠かせない問題が多く出題されることに留意しておく必要があります。
学科 IV (施工)
各分野別出題数は、契約、仮設計画、工程管理で5問、各種工事で18問、その他で2問出題されました。近年、施工では契約関係の問題が重視される傾向にあり、今後とも注意する必要がありますが、契約、仮説計画、工程管理の分野の問題では、特に新規な内容のものは出題されませんでした。他方、各種工事では、新規な内容を含む問題が出題され(屋根工事、防水、抗頭処理、打撃曲げ試験等)、従来以上の広範な知識がないと解けない問題が比較的多かったことから、総体的に難度は高かったと言えます。また、改修に関係する問題が出題されていたのも、近年のストック社会に係わる傾向の問題として、今後も注目しておく必要があります。

二級建築士講座

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