全日本建築士会について 50余年の建築士育成事業の実績をもとに、社団法人全日本建築士会が総監修した、建築関連資格の特別養成講座

合格への鍵 講座>本試験の総評>設計製図の課題発表(一級)

平成 25年度一級建築士

(注)要求図面に、図示又は記入するもの

  • 主要寸法、室名、床面積
  • 構造種別、架構形式等に応じて必要となる構造要素
  • 柱、梁等の断面寸法
  • 設備スペース、設備シャフトの位置
  • 避難階段に至る歩行距離・歩行経路   等

(1)本年度課題の傾向について

本年度の課題「大学セミナーハウス」は、従来の課題の傾向であった一般に誰でも使用する馴染みのある施設、一般に社会性の高い施設、例えば美術館、図書館、コミュニティセンターなどという施設に比して馴染みの薄いものという印象を与えるもので、やや従来と傾向の異なる課題であると考えられるかもしれませんが、広くとらえれば、この種の施設も研修所の範疇に入るものと考えることができます。このように考えると、昭和60年に「研修所」、平成8年に「景勝地に建つ研修所」として出題されていることからも、それ程に課題として新規の傾向のものと考える必要はないことになります。

(2)課題の内容、条件について

「大学のセミナーハウス」という課題から想起される最も代表的な施設としては、全国の大学の共用施設としての八王子セミナーハウス(吉阪隆正設計)がありますが、無論、試験の課題の性質上、単独の大学が利用するもの、地域にある複数の大学が共用するもの等、比較的限られたコンパクトな規模のものとなると考えられます。
セミナーハウスは、本来、比較的短期間に特定のテーマで講演や討論を行ったり、講師による集中講義を行ったりする施設であるとともに、学生同士、学生と教員間の交流、あるいは他大学や留学生との交流等の場としての機能も重要で、また、宿泊施設を伴うものと宿泊施設を伴わないものとがあります。本課題では、要求図書から2階建てであることが想定されますが、それだけでは宿泊施設を伴うものであるか否かは判断できませんので、両方の場合についての準備をしておく必要がありますが、特に、敷地が比較的閑静な郊外や景勝地である場合は、当然、宿泊を伴うものとなるものと考えることができます。
試験の課題としての性質上、施設の内容そのものは、それ程に特殊なものが出題されることはないと考えられますが、セミナーや交流の在り方や、敷地の条件(市街地か郊外か、景勝地で敷地に勾配がある場合等)など様々なパターンの与条件が考えられ、それらに対応した配置計画、建築計画等、高度な計画力を必要とする内容のものとなる可能性があります。

(3)課題への対策について

平成21年度の試験内容の見直し以来、合格のための最も重要なポイントとなっているのは、あくまでも建築計画力であることは一貫しておりますが、近年は、課題条件で受験者の判断の自由度が高いものとなってきていることが、特に留意点としてあげられます(24年の課題で、敷地に接する二つの道路の巾員が同一である条件等)。
また、試験内容の見直し以来、課題条件のうち、附随的な条件等については受験者自身で考えることとなっている点も留意点で、課題の施設についての確実な基本的知識を身に付けておくことが必要となります。
更に、広範囲で基礎的なしっかりした構造、設備に係わる知識を身に付けること、建築、構造、設備計画に係わる簡潔明瞭な記述力を養成しておくことも重要ですが、やはり、一義的には高度な建築計画力を身に付けることが、先ず基本的な合格の鍵となると考えられます。以上の留意点からは、限られた期間に確実な基礎力と応用力を養成するための精選された練習課題による準備が極めて重要であると考えられます。
- 2013年7月26日 -

設計製図受験講座

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