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合格への鍵 講座>本試験の総評>設計製図試験の合格発表の概要(一級)

令和6年度一級建築士設計製図試験の講評

本年の本試験課題の概要

令和6年度一級建築士設計製図試験の本試験課題は、「平成21年に試験の実施機関より発表された試験の見直し」以降続いてきた近年の試験の傾向の延長線上にあるものとなりました。すなわち、近年の試験の顕著な傾向である予め発表される試験の課題が、一昨年の課題の「事務所ビル」、昨年の課題の「図書館」や特に本年の課題の「大学」のように、課題の対象としての施設の内容が限定し難く、広範囲で、予めどのような施設になるか具体的に的を絞るのが困難であること、さらに近年の試験の顕著な特徴でもある課題条件に階数の指定が無く、延べ床面積についても容積率の限度が示されているのみで、特に指定がないなど、受験者の裁量の余地の多い、いわゆる自由度の高い課題となっていることがあげられます。

このため受験者は予め発表された課題について的を絞って準備をしておくことが益々困難となってきており、このことからは設計製図試験の本旨でもある、どのような課題条件にも対応できるような基本的な建築計画力の評価に益々重点が置かれるようになってきていると考えることができます。

本年度課題の特徴

上記のように本年の課題は予め発表された単なる「大学」というだけでは仲々具体的に予測し難いものでしたが、本年度試験課題の特徴といえる主な内容としては、以下のような点が挙げられます。

⑴ 大学の対象施設が駅前広場に面するサテライト型の建築学科の学生の学習、教員の研究等を対象とした施設である。
⑵ この施設には、教室、研究室の他に、段床形式のある大面積の講堂や、広範囲な多目的の 用途にも使用される大面積の製図室も含まれる。
⑶ この施設は基礎免震構造とすること。
⑷ 大地震等が発生した場合に、帰宅困難者の一時滞在にも配慮した計画とすること。
⑸ 課題条件としての施設の階数指定や延べ床面積の制限が容積率の限度以外に示されていないこと。
⑹ この施設が建築を学ぶうえで参考、教材となるようなものとなることを目指すものであること。

以上が本年の試験課題の内容の主な特徴といえます。

本年度の試験課題の意味と今後の試験課題への対策

以上のような本年度の試験課題の内容は、予め課題として発表された「大学」というものだけでは、およそ、予測し難いものであるようにも思われますが、よく考えてみますと、駅前広場に面し特有の接道条件等の敷地に建つ建物としては、商業施設や事務所ビルやコミュニティー施設等、実に様々なものがあり得る訳で、又それらの建物の内容としても、例えば小規模な多数の会議室を有するもの、大会議室を有するもの、大集会室を有するもの等も考えられるわけで、以上のように考えてみますと、今年度の課題の駅前広場に面して建つ建築学科のための大学のサテライト型の施設という一見予想し難い課題の施設の内容は、実は、その他の建物にも共通する、本質的にはそれ程に特殊な内容の建物ではないとも考えることができます。

また、この建物が免震構造で、大地震が発生した場合の帰宅困難者の一時滞在にも配慮した計画とするという点についても、過去の課題でも大震災の折に地域住民の避難場所として活用できるものとする等の内容で出題されたこともあり、特にこの課題に特有の特徴というものでもありません。(本年度の二級建築士設計製図試験の本試験課題でも、大震災の折に地域への配慮を必要とする内容の課題が出題されています。)

また、階数の指定や延べ床面積の制限が示されていない点についても前述のように近年の課題の特徴といえます。

更にこの課題の条件として示されている、この施設が「建築を学ぶ上で参考(教材)となるような建物とする」という点については、実際の建物の設計コンペの応募案ではない以上、あくまでも試験の解答としては、課題内容として示されている多数の教室や研究室、大空間としての講堂、製図室やパブリックなラウンジ等を生かした共有部門、管理部門等との関係がいかに明解にゾーニングされ、動線が整理されて使い易い施設になっているかが示されている案とすることが、建築を学ぶうえで参考(教材)となる建物となるといえる訳ですので、試験の解答としては以上で充分であると考えられ、また以上のことはどのような種類の建物にも共通する基本的な建築計画上の考え方といえます。

上記のように、この課題の内容は、実に様々な予測し難い固有の内容を含むものの様に一見考えられるものの、その実は、他のどのような建物にも共通する点を多く含む課題であると考えることができます。以上から本年の試験課題のように近年の試験の特徴である前もって予測することの難しい内容の課題への対策としては、どのような課題にも共通し、対応できるような基本的、基礎的な建築計画力をしっかり身に付けることが最も重要な合格への錠となると考えることができます。

本会講座の特長

本会の講座は、設計(建築計画)及び製図についての着実な基礎力の養成から着実な合格力の養成を目指すものですが、特に近年の試験の傾向から、合格のための重要な鍵となる建築計画力の徹底養成を図る内容となっております。

通学、通信講座ともに全く同一のカリキュラム、内容で、建築計画力の徹底養成の為に、全ての演習課題について添削指導することとしており、また、通学、通信講座ともに全ての演習課題について建築計画上の考え方に重点を置いたWeb動画による詳細なサポート解説(各約150分)を配信することとしております。

着実な建築計画力の養成の為には、演習課題の内容のクオリティー(質)が極めて重要となるため、本会講座では、本会会員の日本建築学会賞受賞者をはじめとする第一線の建築家であるベテラン講師陣が、着実な建築計画力の養成を念頭に系統的、段階的に作成する課題から添削指導まで一貫して担当することとしております。

本会講座における各段階の演習課題の内容は、予め発表された本試験課題の内容を徹底的に分析、検討して作成したものであることにより、個々の演習課題の内容が本試験の課題内容と似たものとなることもあり得ますが(本年度課題における駅前広場に面するサテライト型の大学の施設、免震基礎構造とすること等)、本会の講座はあくまでもパターン化した事項の記憶によるヤマを当てる式の勉強ではなく、着実な建築計画力の養成が合格へ至る最も重要で確実な道であるとの主旨から構成され、着実な実績を上げております。

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