全日本建築士会について 50余年の建築士育成事業の実績をもとに、一般社団法人全日本建築士会が総監修した、建築関連資格の特別養成講座

合格への鍵 講座>本試験の総評>設計製図試験の総評(二級)

令和6年度二級建築士設計製図試験の講評

(1)近年の試験課題の傾向と本年の課題について

令和6年度の二級建築士設計製図試験の本試験の課題は、平成24年に試験実施機関より発表された2級建築士試験についての見直し以来の傾向の延長として、特に建築計画力にポイントを置くという傾向が顕著なものとなりました。その理由は、昨年の試験課題の「専用住宅」におけるように、近年の課題では、課題の建物についての種々の付記が記されることが無く、そのため、課題の内容が巾広いものとなってきたことによります。

以上のことは、本年の試験課題でも単に「観光客向けのゲストハウス(簡易宿所)」ということだけでは課題の内容の範囲が広く、従来に比し、試験の準備のための的が予め絞りにくくなったということで、それだけ従来にも増して、どのような課題の内容にも適応できるような基本的な建築計画力が求められる課題になってきたといえる訳です。このような出題傾向は、二級建築士設計製図試験における、基本的な設計力を重視し、評価するという設計製図試験の本来の主旨から考えても、今後も続くものと考えられます。

(2)本試験課題の意味とポイント

① 近年のRC造の課題は「3階建て」の出題が続いていましたが、今年度の課題は「2階建て」であったため、1、2階における面積が広くなり、ゾーニング・動線等の計画がより複雑なものになりました。
② 本年の試験課題では、単なる簡易宿所ではなく、それに様々な付加的な要素が加えられ、課題内容がそれだけ複雑となり、課題の難度がやや高いものとなりました。即ち、宿泊者間の交流、及び、地域の観光情報の提供、近隣住民とイベントの打ち合わせ等を行う為の交流スペースとしての喫茶スペースや、長期滞在観光客への配慮として、積極的に交流することのできる談話コーナー等を計画することが求められました。
③ 屋外広場を設け、屋外広場は喫茶スペースに直接行き来できるようにすることにより、観光客と近隣住民との交流の場とするとともに、緊急車両を駐車するスペースとしての機能を持たせることも求められました。

以上のように、本試験課題は、単なる「観光客向けのゲストハウス(簡易宿所)」からは、なかなか予測しにくい様々な内容を含む課題となっているため、単に事前に何パターンかの課題を記憶するということだけではなかなか対応することは難しく、様々な内容の課題に対応できるような基本的な建築計画力を如何に身に付けているかが問われる課題になっているということができます。

なお、本年の課題は3階建てではなく2階建てであることにより、法的には、斜線制限について考慮する必要は無く、また、竪穴区画も不要で、単に延焼ラインの表示が求められたことくらいで、法的規制についてはそれ程難しい点は無かったため、益々本課題は、建築計画力そのものにポイントが置かれる課題になったと考えることができます。

(3)今後の試験課題への対応と本会の講座の特長

上記のように、本年度の試験課題は、近年の試験の傾向として予め発表される課題についての付記が無く、課題内容の予測が比較的難しい広範囲の内容のものが出題されるようになってきているため、どの様な内容の課題にも対応できるような基本的な建築計画力を身に付けておくことが従来以上に必要となってきた訳で、このことが今後の試験への対応としては最重要ポイントということができます。

本会の設計製図講座での演習課題では、設計製図試験の重要ポイントとしての設計及び製図(来年度の試験では木造となることが予想されます。)について、基礎から応用まで徹底的に合格のために必要な力を養成することを目的としていますが、特に合格の鍵となるしっかりとした建築計画力を身に付けることに重点を置いたものとなっています。建築計画の根底となる基本的な考え方には、どのような課題にも共通する様々の考え方が含まれているため、基本的な建築計画力を身に付けるためには、課題の内容が何であるかは直接関係なく、できるだけ早期から準備を始めることが合格の鍵となるといえます。

本会の講座の演習課題は、第一線のベテランの講師陣が課題内容を徹底的に分析して作成したものであるため、演習課題の内容が本試験課題の内容と類似性の高いものとなる場合もしばしばありますが(本年度の試験課題における、2階建てで各階のプランがやや複雑なもの、宿泊者・近隣住民が交流するための談話コーナー、ラウンジ等を設け、それらと関連した屋外広場を計画すること等)、あくまでも、本会の講座はヤマを当てる式の勉強ではなく、合格の鍵となるどのような課題にも対応することができるしっかりとした建築計画力を養成することを主眼として、着実な実績を上げてきております。

課題発表前からの早期スタートが合否の鍵となる理由とは
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