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平成29年度二級建築士設計製図試験の総評

「家族のライフステージの変化に対応できる三世代住宅」
(木造2階建て)

本年度の課題は、課題条件には想定外と考えられる事項のことは、ほとんど含まれておらず、受験者にとっても概ね想定内の課題条件であり、全体として取り組み易かったと感じられた方も多かったのではないかとも思われます。
他方で、それだけに、採点・評価上、解答としては従来に比し、より緻密さが要求されるものとなったのではないかとも考えられます。

本課題の核心ともいうべき「ライフステージの変化に対応できる」という点については、
①予め屋外スロープを考慮しておく計画とする。
②将来の対応として要求室の用途変更、子供室の将来の分割が可能な計画としておく。

の2点に絞られますが、以上についても準備が充分だった方にとっては想定内のものであったと考えられます。

敷地については、やや例としては少ない西側道路でしたが、そのような条件の中で、屋外施設としての駐車場・駐輪場と屋外スロープがいかに建物の南側の外部空間への影響が少なく整理されて計画されていたかが一つのポイントとなったと考えられます。

祖父母の高齢化を考慮して、階段は蹴上げ180mm以下、踏面225mm以上のやや余裕のある寸法のものとする、という課題条件は、本課題の中で唯一想定外の課題条件ともいえるもので、通常の住宅用の階段としての1間角の階段では納まらないため、計画上の工夫が必要となり、それだけに全体にも関係するプランニング力が評価されるポイントとなっています。

平面計画においては、各要求室等の床面積についても未指定のものは比較的少なく、オーソドックスな課題条件であったといえますが、
①家族全体の集う場としての居間・食事室の計画
②将来の子供室の分割、多目的室の要介護者の寝室への用途変更が可能な計画
③居間等と関連する落ち着いた南側外部空間の計画

等が平面計画上のポイントとなると考えられます。

課題発表時にも注記されていた外壁の仕上げについては、「乾式工法によるもの」と想定内の条件であったといえます。

部分詳細図は想定内の矩形の一部としての2階床組み部分の詳細図でしたが、床伏図における構造部材との整合性も留意点といえます。

以上のように本年度の課題の内容は、一部を除いて全体的には想定外の事項の少ないオーソドックスな課題であったといえますが、それだけに従来に比し採点評価のレベルはやや高くなり、その意味では、課題の難易度は決して低くはなく、むしろ高度な課題であったとも考えることもできます。

いずれにしても、設計製図試験の合格を確実にするためには、しっかりした建築計画力を養成することが必須条件となるわけですが、建築計画力を養成することは、短期間でなかなか難しく、また建築計画力を養成することは、計画上の考える力を養成することであって、課題が何であるかは直接関係ありません。
以上から、特に、30年度の設計製図試験の課題は、鉄筋コンクリート造となることが予想されることからも、本試験の課題発表前より、しっかりした鉄筋コンクリート造の構成に基づく、建築計画力の養成を着実に始め、本試験の課題発表後は、課題に特化した準備に集中するのが、合格を確実にするための重要な鍵であるといえます。

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