全日本建築士会について 50余年の建築士育成事業の実績をもとに、社団法人全日本建築士会が総監修した、建築関連資格の特別養成講座

合格への鍵 講座>本試験の総評>設計製図の課題発表(一級)

平成 26年度一級建築士

(注)要求図面に、図示又は記入するもの

  • 主要寸法、室名、床面積
  • 構造種別、架構形式等に応じて必要となる構造要素
  • 柱、梁等の断面寸法
  • 設備スペース、設備シャフトの位置
  • 避難階段に至る歩行距離・歩行経路   等

(1)平成26年度の課題の傾向について

本年度の課題であるー温浴施設のある「道の駅」ー の「道の駅」は、従来の課題の傾向であった、今まで一般に誰でも使用する馴染みのある施設、一般に社会性の高い施設、例えば、美術館、図書館、コミュニティセンターなどという施設に比して、やや馴染みの薄いものという印象を与えるものです。事実、従来の課題の大部分が一度か二度、類似課題として過去に出題されていたものであるのに対して、今回の課題は従前に出題された例はなく、その意味で今回の課題は、新しい傾向の新規な課題であるといえます。
ちなみに、「道の駅」は、近年、国土交通省が地域振興、活性化の一環として全国的に展開している施策です。モータリゼーションが特に地方で進む状況にあって、車のアクセスしやすい幹線道路沿いに、地域住民の集会等のコミュニティの拠点と地域の特産品の販売等の機能を併せ持つ施設を設け、また、それらのネットワーク化を図ることにより、地域の住民のふれ合いとともに、地域外の観光客とのふれ合いを通じ、地域経済の振興や地域の魅力の増進等を図り、地域の創生、活性化を図ろうとするものです。
以上のように、「道の駅」は比較的、新しいコンセプト(概念)のもとに新しい機能を有する施設であるということができます。

(2)課題の内容、条件について

「道の駅」は前記のような考え方により、都市型の施設ではなく、郊外、地方型の施設であり、幹線沿いに観光客のための駐車場を備えた、地域の特産品の販売所、休憩所、食堂等の機能とともに、地域住民のための集会、交流の機能をも併せ持つ施設です。以上により、この施設は、観光客等の地域外からの来訪者に対して地域の魅力の発信を図るものであり、また、地域住民のコミュニティの場であるとともに、観光客等の地域外の来訪者と地域住民との交流の場でもあることが必要とされます。
なお、今回の課題が ー温浴施設のある「道の駅」− であることから、温泉、共同浴場としての機能、設備を有することが要求され、更に、当該施設の性格から、地方の景勝地に位置する可能性も高く、その場合は、建築計画上、景観、眺望への配慮も重要な要素となります。

(3)課題への対策について

平成21年度の試験内容の見直し以来、合格のための最も重要なポイントとなっているのは、あくまでも建築計画力であることは一貫しておりますが、近年は、課題条件で受験者の判断の自由度が高いものとなってきていることが、特に留意点としてあげられます(24年の課題で、敷地に接する二つの道路の巾員が同一である条件等)。
また、試験内容の見直し以来、課題条件のうち、附随的な条件等については受験者自身で考えることとなっている点も留意点で、課題の施設(特産品販売所、食堂、休憩所、集会場、展示場、温浴施設等)についての確実な基本的知識を身に付けておくことが必要となります。
更に、広範囲で基礎的なしっかりした構造、設備に係わる知識を身に付けること、建築、構造、設備計画に係わる簡潔明瞭な記述力を養成しておくことも重要ですが、やはり、一義的には高度な建築計画力を身に付けることが、先ず基本的な合格の鍵となると考えられます。以上から、限られた期間に確実な基礎力と応用力を養成するための精選された練習課題による準備が極めて重要であると考えられます。
- 2014年7月25日 -

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