新傾向問題>合格トピックス>設計製図の課題発表(一級)
平成 24年度一級建築士
(注)要求図面に、図示又は記入するもの
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主要寸法、室名、床面積
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構造種別、架構形式等に応じて必要となる構造要素
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柱、梁等の断面寸法
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設備スペース、設備シャフトの位置
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避難階段に至る歩行距離・歩行経路 等
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平成24年度一級建築士設計製図試験課題講評

平成24年度の一級建築士設計製図試験の課題は、段床形式の小ホールのある地域図書館と公表されましたが、地域図書館は地域社会における知的情報の場として、交流の場として、地域コミュニティの一翼を担う施設であり、近年の課題の傾向である、高い社会性を有する施設の延長線上にあるものと言えましょう。

試験の課題として、図書館は、平成4年に「アトリウムと小ホールをもつ地域図書館」、平成9年に「緑豊かな吹抜空間のある図書館」と出題されており、正に試験の課題の定番の一つとも言えるものですが、無論、本年の課題では「段床形式の小ホールのある」という附記が大きな留意点となっています。

本来、図書館そのものは、様々な機能の複合施設であり、また、地域図書館の在るべき姿も様々な状況が考えられる上に、「段床形式の小ホールのある」という附記条件により、課題の難易度は一段と高くなっていると考えられます。すなわち、段床形式の小ホールが設けられることにより、建築計画上、平面的にも断面的にも、また構造計画上、考慮すべき様々な要素が重要ポイントとなってくる可能性が高いと考えることができます。

また、地域図書館として、地域社会とどのような関係を有するか、敷地の周辺環境との連なり(敷地に公園が隣接している場合等)も当然、課題の本質的な重要ポイントともなり得るものと考えられます。更に、図書館自体が様々な性格の室を有する複雑な施設であるため、それらに的確に対応する構造計画、設備計画が求められることも言うまでもなく、評価上の重要ポイントともなると考えられます。

以上により、本年度の課題に的確に対処し合格するためには、先ず相当に高度な建築計画力を身に付けておくことと、当該施設に合理的に、適切に対応する広範囲で基礎的な構造計画と設備計画に係わる知識を身に付けておくことが重要な鍵と言えます。
- 2012年7月20日 -
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